森が福祉にできることvol.3

つながりが育む持続的な森林づくり
平成29年度新たな木材需要創出総合プロジェクト事業
木づかい・森林づくり活動の全国的な展開のうち森林づくり活動

 

「森が福祉にできることvol.3」の小冊子はこちらからダウンロードできます。

 

「森」と「福祉」のつながりを創造する事業に取り組み3年目。今年は「森」と「福祉」のつながりから生まれたさまざまなこと、気づかされたさまざなことをより多くの方々に伝え、この関係を継続させていくことを目的としました。

そして、障害のある方たちと一緒に森林づくりを楽しむこと、その実現に向けての試みを行いました。

都心で、作業所の利用者さんたちにも参加してもらいながら、「森と福祉」をテーマにしたイベントの開催、作業所で木材等を素材とした、自主製品づくりをするための専門家による研修、表現すること、ものづくりをすることの楽しさを感じてもらうためのワークショップ、昨年度整備したバリアフリーな森へ障害のある方に来てもらうこと、里山再生と福祉施設の関わりの試みなどなど。実際にやってみることで学ぶことが多く、たくさんの課題も見えて来ました。何よりも「森を感じること」の大切さを教えてもらいました。森は頭で考えるものではありません。行ってみて、感じることなのだと改めて思いました。

 

森と福祉のイベント

森と福祉を結ぶエガオとゴエン

ウエルフェアトレード・フォレスト

 

 

森」と「福祉」を結ぶイベントが2017年12月4日〜12月8日、ゲートシティ大崎 B1アトリウムで開催されました。おそらくこのような企画のイベントは全国でも初めての試みだと思います。

企画・プロデュースはGOENenenPROJECT、これまでも福祉施設を支援するイベントを手がけて来たグループです。今回は25の作業所が参加。作業所の利用者さんたちが作ったものを販売するだけではなく、ワークショップ、セミナー、音楽会などともりだくさんでした。MORIMORIネットワークは環境づくり、ワークショップなどの企画で参加しました。

 

小さなログハウス

MORIMORIネットワークが設置した小さなログハウスはこのイベントのシンボル。子どもたちにも大人気でした。

 

イベント会場の様子

会場には全国各地の福祉作業所の利用者さんたちが思い思いに作ったものたちが、いっぱい並びました。そのユニークな感性は驚きの連続、手づくりのあたたかさ、やさしさが伝わってきます。

 

森の音楽

木でできた楽器を中心とした演奏とお話

わーるどふるーとDUOと夢野瑞穂さんによるライブ演奏。

「森」をテーマにしていただいたので、楽器は森から生まれた天然素材の笛、リコーダー、ケーナ、サンポーニャ、篠笛など。リコーダーは黒檀から、ケーナは竹から、サンポーニャは南米の葦で出来ています。リコーダーは、黒檀の他にも ツゲ、カエデ、クルミ、ナシなどからも作られていて、それぞれ少しづつ木によって音色が違うそうです。面白いですね。

 

セミナー&ワークショップ

屋内での5日間のイベントでは、ホンモノの枝や木を持って来ても枯れてしまいます。そこで思いついたのが、風船の森。バルーンアートをやっている、ひやしんす城北の籏野哲也さんに指導してもらい、みんなで緑色の風船の木をつくりました。

 

日替わりでいろいろなセミナー&ワークショップが開かれました。

 

自然茶(じねん)茶を知るセミナー

お茶を楽しむ会を主宰する近藤美知絵先生に自然(じねん)茶のお話を伺いながら、お茶をいただきました。自然(じねん)茶とは、里山に自生する野生のお茶。おいしくて健康にもよく、懐かしい香りがします。

 

小さなお花畑を作ろう

好きな花を選んで、自分でお花畑をつくります。お花にさわるとみんないい笑顔になりますね。

 

ヒノキの葉でリースを作ろう!

山梨にある作業所みとおしさんが、ヒノキの葉をたくさん山梨から運んで来てくれました。その葉を使ってクリスマスリースづくり

 

森のトワル

このイベントでは、スタッフはかっこいいトワルを着ていました。

トワルってご存知ですか?洋服を仕立てるときに、仕上がったときのデザインやサイズを確認するために作られる仮縫いの服のことです。でも、それがすんだらトワルの役目も終わってしまい、破棄されてしまいます。それでは、もったいない!ということで、その再利用を推進している、ファーリメイク会社のTADFURさんよりトワルをご提供いただき、利用者のみなさんが思うままの森を描いたのが「森のトワル」。とってもかっこよくて、ユニークでセンスのいいスタッフ用の服が出来上がりました。この「森のトワル」を身にまとうことで、みんなが、木になり花になり、そして会場を森にしました。

みんな自分の森のイメージを描いていきます。つぎつぎに素敵な森のトワルが誕生しました。

森のトワル」プロジェクトには、やすらぎの杜 PoMa(練馬)、アトリエ福花(渋谷)、小茂根福祉園(板橋)、萌友(神戸)、カナウ(神戸)、からふる(川口)、joe’s world(岐阜)、滝乃川学園(国立)、イタール成城(成城)の計9事業所の利用者さんたちが参加してくれました。ペイントしたり、字を書いたり、刺繍をしたり、染めたり、布を貼ったり・・・と、自由な表現によって生まれた、実に様々な「森」たち。「ああ、こんな見方、感じ方、表し方もあるんだな」と、その多様さに感じ入りました。

(文責:佐藤生実)

 

「森」と「福祉」がつながる時間

荒川生活実習所で利用者さんたちと一緒にワークショップをやり初めて3年目になりました。目の前に今日の教材が置かれて、説明が終わるやいなや、みんないっせいに絵筆を持ち、のこぎりを持ちます。そのとまどいのなさとパワーに驚いていると、次から次へと作品が出来上がっていきます。3年前に始めた頃はみんななかなか絵筆を持たなくて、いつまでもジーッとしている人もいたのに。今は違う!この時間を「待ってました!」とばかりに部屋中に表現者たちのエネルギーが溢れていきます。

 

作業所内の表札づくり

今日は作業所内の部屋の前にかける表札をつくることになりました。殺風景な建物にきれいな色の看板をかけたいという発想です。

 

サークルベンチをつくる

≪組み立て≫

今年は「みんな」で何かを作るという試みをすることになりました。そこで、みんなで座れるベンチづくりに挑戦しました。一人一人で作品を創るのも楽しいけど、みんなで一つのものを創り上げるのは、また別の楽しさがあります。

 

≪色塗り≫

組み立てが終わったベンチに色を塗ります。ベンチに大きな丸をいろいろな色で描いていきます。

わあー! いろいろな丸が出来上がっていきます。どれも個性的ですね。

 

 

自主製品のための研修

木のアクセサリーづくり

作業所のものづくりの中に、木製品を加えたいということで、まずは、木のアクセサリーづくりを行いました。講師はFLAGSデザインの松田光二さん。福祉施設から質の高いものを生み出そうと、研修を引き受けて下さいました。研修は町屋あさがおで行いました。

【1回目 職員さんへの研修】

利用者さんたちが作っていくためには、まずは、職員さんが作り方を覚えます。

講師の松田光二さん

 

木のアクセサリーづくりの手順

 

 

【2回目】

いよいよ利用者さんへの研修です。まずは、得意そうな人に学んでもらいます。

 

【3回目】

ビーズの色塗りの仕上げです。

色塗りしたビーズにやすりをかけて、またパステルで色をつけて、アクリルを塗って・・・

 

 

森を楽しもう
(埼玉県飯能市風影)

子どもたちが森にやってきた!

不登校気味であったり、家庭環境に支援が必要な子たちが週1回手作りの食事をともにし、勉強をし、家庭的な人間関係の中で過ごすといった居場所づくりをしている「子ども村:中高生ホッとステーション」の小中高校生男子7名と20歳代男性スタッフ3名とお母さん1名が森に遊びに来てくれました。朝はあいにく雨が降っていましたが、子どもたちはまったく問題にしません。森へ着いたことが一番!です。

3日後にたくさんの人たちが森に来るイベントがあります。多少の雨ぐらい何でもない! 蔦を刈ったりして森の中をきれいにしています。子どもたちのパワーで、森が蘇っていきます

 

森の中にはいろいろな遊びの発見があります

 

小さなログハウスにも飾りつけします

 

 

森の活動

お茶摘み

昨年のもみじ祭りのときにいらした近藤美知絵先生が、この風影(ふかげ)の森にもたくさんの自生のお茶があることを教えてくださいました。近藤先生は里山に自生するお茶=自然茶(じねんちゃ)を求めて歩いていらっしゃいます。「これもお茶の木ですよ。お茶は摘んでくれるのを待っているんです。摘んでもらわないと新芽が出ないから。この木は、ここに100年くらいいるんですよ。」と。いつも来ているこの森にお茶の木があったなんて!それでは、近藤先生の指導でお茶摘みをしようと、集まりました。

 

 

ワークショップの準備

荒川生活実習所でやっているワークショップの準備作業を手伝いに来てくれました。ワークショップで作るベンチの材料を切り出していきます。

 

秋の森林体験 もみじ祭り

風影の森では、木々が色づく季節には毎年「もみじ祭り」をやります。今年もたくさんの人が集まりました。紅葉した枝を集めてツリーハウス、ログハウスを飾り、みんなそれぞれに楽しみます。初めて車いすでさわささんが参加してくれました!