先進事例の視察

ココ・ファーム・ワイナリー(2016年1月16日)

1950年代、当時特殊学級の教師だった川田昇さんと中学生たちによって、急斜面の山を開墾してつくられました。「知恵おくれ」と言われる子供たちが、卒業してから働く場をつくることが目的でした。慣れない農作業の中で数多くのことを乗り越え、少年たちは逞しい農夫に育ちました。

1984年ワインづくりをスタート、化学肥料・除草剤を一切使わない畑で育てられた葡萄を使用し、醸造場での醗酵も天然の野生酵母や野生乳酸菌が中心です。

ワインがまだ日常的に飲まれなかった時代に始まったこのこころみが、今大きな評価を受けても、それに惑わされず創立の信念を貫く姿勢は、日々の寡黙な営みがいかに大切であるかをココファームは教えてくれます。

こころみ学園 栃木県足利市田島町616

葡萄栽培面積:6万平方メートル  ワイン醸造数:年間16万本

感想

当日の天気は最高!ココ・ファーム・ワイナリーのワインも素晴らしかったです!葡萄畑で実際に農夫さんが働いている姿が見られなかったのは少し残念でしたが、スタッフの方の分かりやすい説明でこころみ学園、ココ・ファームの歴史を知る事が出来ました。何事もまずはチャレンジ。試みる事の大切さを学んだ一日でした。

愚直に障害のある方たちが生きるための力を付ける事、そのために仕事を作り出すことを追及していった形が、あんな立派なワイナリーになっていったと言うことに原点を見つめ直させられました。

利用者の仕事をなるべく多くするために、草取りをしたり、虫を手で取ったり、手間をなるべく作り出して来ただけ、ロハスなどと、もてはやされているけれども、しっくりこない。売れるからいいですけど・・・と職員さんが言ってらしたのが、とても嬉しかったです。ワインも空気もおいしかったです。

さんわーく かぐや(2016年2月20日)

小田急線の「善行」駅から住宅街を歩いて5分、小さな家の脇の道を降りて行くと、周囲とは異空間の広場がありました。その中に、竹林、畑、作業場、絵や手芸のためのアトリエ、鶏小屋、陶芸の窯、薪、堆肥、丸太、木彫りの彫刻などなどあらゆるものがありました。

2008年彫刻家の藤田さん一家がアトリエだったところを、障害のある人たちが集まれる場所にしました。きっかけは、重度の精神障害を持つ娘さんの居場所をつくりたいという思いからでした。

定員10名のアットホームなところ。福祉施設らしからぬ場所、家族のような関係を目指しているとのこと。ここでは職員も、ボランティアも、利用者も、遊びに来た人もマゼコゼ。自主製品は、一人ひとりが伝えたいことを、伝えていくためのツールです。

生きる、暮らすということをメンバーたちと一緒にやらせてもらっています。「さんわーく かぐや」は面白い人が集まる場にしていきたいです。
副理事長の藤田靖正さんは語ってくれました。

感想

全員での作業は田んぼや畑があるようですが、個人では、絵を描く人、刺繍が得意な方、薪を切る人、各自の想いを大切にし、お互いを歓び、助け合っているように感じました。人の生活の原点、社会のあり方の原点を見る思いでした。障がい者もなく、健常者もなく、同じ人間として今を生きる仲間として助け合って生きて行く。全てを手づくりされることで、自然の大切さ、生命の大切さ、ありがたさが解ると思います。

工賃アップだけではなく、今を生きている時間を大切にし、寄り添う支援がここにあると思いました。「障害があってもなくても、ともに考え、ともに働き、ともに支え合い、地域に暮らす一人としてできる役割を担いあって生きていく」の基本を学ぶためにふさわしい自然環境に恵まれた場であるし、うらやましいくらい多様なことができそうな拠点です。利用者がありのままの自分を表現でき、尊重される場にすることに多くの時間とチカラを注ぎ込むスタッフにエールを送り続けたいと思いました。

私には20代後半の知的障がいを持つ息子がいます。父親として何かできるのではないか?という思いを持ち続けてきました。さんわーくかぐやさんは、親が先頭に立つのではなく、地域の関わりの中からたくましく伸びた素晴らしい事例だと感じました。

葡萄の木は自立して日光を求めて伸びるのではなく、宿り木として他の木に頼って枝を広げるしか生きる道はありません。山の斜面で、根の位置から数十メートル下った木に取り付く宿り木の巨木があります。長い年月をかけて、取り付いて倒れては隣に移って、下へ下へといったのでしょう。そんな生き方があっても良いのです。ここに通う人たちも自分の居場所、枝を伸ばす場所をしっかりと掴んでいるなと感じました。突然の訪問客を暖かく迎えてくれる安定した感情が育まれているのがよくわかりました。機会があったら通所したいです。

作業所に緑の風を

荒川福祉作業所/荒川生活実習所の施設公開に向けて

荒川生活実習所でのワークショップ

第1回 竹を使ってマイコップとマイ箸づくり
第2回 まるで絵馬のよう!板絵づくり

職員さんたちの森林体験

初めての間伐と紅葉まつり

先進事例の視察

ココ・ファーム・ワーナリー(栃木県足利市)とさんわーく かぐや(神奈川県藤沢市)

福祉に森ができること

1年間の活動を冊子にまとめました