「森」と「福祉」が出会う場所を訪ねる

フラッグスデザイン

福祉施設から生まれる質の高いものづくりを目指して

特別支援学校の卒業生が誇りを持って社会生活を送れるようにと、(故)ヨーガン・レール氏の家具のメンテナンス工房として2000年に開設。現在はオリジナルの木製品もつくっています。

松田光二さんのお話(NPO法人FLAGS代表理事)

これまでのあゆみと取り組み

最初はこの近くの福祉施設にボランティアとして関わりました。私は空間デザイン、店舗のデザイン、家具のデザインなどを手がけていて、ものづくりのプロでしたけど、その頃の福祉施設は、ものづくりにはあまり前向きでないように感じました。それであれば自分たちで“ものづくりをする場所”として作業所を起こして、オリジナルなものを作って世に出していこうと始めました。 “フラッグス”は旗です。「俺たちここにいるぜ!旗持とうぜ!」という意味でつけました。

代表理事 松田光二さん

障がいのある方とのものづくり

われわれの仕事の基本になっているのは、訓練だと思います。同じものを繰り返し繰り返しつくりながら質を高め、利用者さんの技術を高くしていこうとやってきました。通常で流れている仕事は、8割は利用者さんがやっています。試作をして、原型をつくって、そのトレースから利用者さんの仕事が始まります。板に形をトレースして、糸ノコで切り出す。彫る作業も一部は利用者さんがやります。糸ノコはぼくよりはるかに上手です。丸ノミを使って彫って、電動のサンダーを使い、最後のフィニッシュでキズがないかどうかまで利用者さんがやります。

一回自分の中で段取りを覚えた利用者さんは、どんどん自分でやってくれます。イトノコやっている子も「ホイキタ!」という感じで、どんどんやるので、こっちが間に合わなくなります。

私が教えてもらったこと

重い自閉症の利用者さんがいました。言葉は上手く出てこないのですが、やっているのを見て、削る作業、切る作業やってくれました。以前は手の糸ノコ使っていたんですが、その子が切ると煙が出てくるんです。そのくらいパワーがありました。その彼が削っているのを見て、形はシンメトリーじゃないけど、何かいいなあと思いました。みんな同じ形でなくていいんですよね。同じものの方が大量生産するのにいいということだけですよね。一個一個作るのだから、その一つ一つの形が、美しかったり、楽しかったりする完成度があればいいんじゃないか、そういうことを逆に教えていただきました。

ゆったりとした環境の中でゆっくりやる

この作業は単純な作業が多く、一日中緊張し続けてやるような仕事ではなくて、眠くなったり、ふらふらしたくなったりしたくなります。それはそれでよしとしていて、とてもゆるい環境の中でやるようにしています。冗談を言って笑ったり、できるだけ楽しい環境をつくって、その中でゆっくりやろうよ、という感じです。

ここでやっていて、「すごいね」と言われるとその気になってしまう。それってダメですね。だから、今でもコンペに出すようにしています。客観性を大事にしていきたいです。それと、はっきりモノを言ってくださる方にまわりにいてもらうことが重要です。「これはいいけど、これはだめだね。」とか、そういう話はとても参考になります。ガラスも、自分たちの世界だけでは表現できないものをガラスの作家の方から学習しました。他でやってないと思いますけど、植物染料を使って色をつけることもあります。わりと新しいことはできているのではないかと思います。

これからの夢

最近、気がついたことは「自分たちだけでやろうと思ったら、限度があるじゃないか」ということです。もっと横のつながりをつくって、その中でものを作っていけば、さらにバリエーションも広がるし、他の方の力もいただける。

陶器を作っている方に出会って、製品の一部を陶器でやってもいいのではないかと思いました。木の箸置きだけでなく、陶器の箸置きもいい。縫製の得意な作業所さんと一緒にやるのもいい。自分のところだけで完結するのではなくて、両方の作業所さんの販路を使えるのではないかと。私は造形関係の出身なので、造形面でみなさんに協力して、役に立つことができれば、福祉関係の中で質の高いもの、クオリティの高いものが生産できるのではないかと思います。そんな夢を持ちながらやっていきたですね。

クラリスファーム

共に暮らし、仕事をするパートナーとして

日本の福祉制度に基づく通所の福祉作業所や特例子会社、一般企業での雇用のほか、ヨーロッパでは、障がい者が働く第三の分野としてソーシャルファームなどと呼ばれる、社会的目的を事業として行う場があり、日本でも同様の試みがはじまっていいます。

クラリスファームは1993年に埼玉県熊谷市で知的障がい者の生活寮としてスタート、障がい者とともに生活をし、働き、彼らが社会の一員として活躍できるようソーシャルファームとしての挑戦を続けています。知的障害、精神疾患の方だけだなく、ニート、受刑後の退所者、シングルマザー、高齢者など社会で働きにくい方々も受け入れ、多様な人たちと働いています。現在はオリーブの森の運営の他、水耕栽培を中心とした農業を行っています。

埼玉福興株式会社 代表:新井利昌さんのお話

今30人一緒に生活しながらやっています。自分たちで事業を作っていかないと障がい者の仕事はないです。1993年にはじめて、障害者ができる仕事をやっていましたが、低賃金だったのと、時代の流れで、単純作業はだんだん機械化になりました。いつまでも下請けをやっていると切られる。「下請けはやめよう」とその時に思いました。

オリーブをやろうと思ったのはまったくのひらめきです。小豆島に行って、300本の苗木を持ってきたのが始まりです。利根川が近いので、その氾濫によってもたらされた砂の混ざった土と熊谷の夏の強烈な暑さ。それがオリーブが育つのを助けてくれましたね。

ここには、犯罪をおかした障がい者や障がい者施設からはじきだされた障がい者もいます。一人一人は行き場のない人間たちです。30人が一つの家族として、できることをおぎないながらやっています。

うちは株式会社なので、みんなで頑張って働いていかなければなりません。私はみんなをパートナーととらえています。彼らがいないと事業ができないわけですから。

「森」と「福祉施設」がつながる時間

荒川区の施設で利用者さんに向けたワークショップ

バリアフリーな森の構想

車イスの方も楽しめる森林への整備

森林療法と森の癒し体験

森の演奏会とお茶会 上原先生のよる森林療法の講座と体験

「森」と「福祉」が出会う場所を訪ねる

NPO法人FLAGS代表理事の松田光二さん、埼玉福興株式会社代表の新井利昌さんのお話を伺いました。

森が福祉にできることvol.2

1年間の活動を冊子にまとめました。